脳梗塞や脊髄損傷などで失われた神経機能を回復させる方法論として注目を浴びているのは「幹細胞移植」です。最近、京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞が世界中で注目されていますが、われわれは患者さんの骨髄から採取して移植することが可能な幹細胞として、骨髄間質細胞(bone marrow stromal cell; BMSC)に注目して研究を続けています。
脳や脊髄に移植されたBMSCは病変部に遊走して、①病変周囲の炎症を抑制する、②神経細胞を保護する、③神経細胞と融合する、④神経細胞に分化するなど、多彩なメカニズムを介して神経機能の回復に寄与すると考えられています。
昨年11月、ワルシャワ(ポーランド)で開催された第11回国際シンポジウム「Molecular Basis of Pathology and Therapy in Neurological Disorders」に招待された当科の黒田が講演した内容を中心に総説として以下に公表しています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23595283