2014年4月からベルリンのシャリテーに留学している堀 聡先生からの留学レポート第5報が届いたので掲載させていただきます。彼は来春、2年間の留学を終えて帰国する予定です。
ベルリンより留学報告記第5弾を送らせていただきます。冬も本番を迎え、ベルリンでは寒さが徐々に厳しくなってきています。一方、街はクリスマスムード一色で、奇麗な光景が広がっています。さて、今回はこちらで参加したイベントについて報告したいと思います。去る10月18~21日に、スペインのマドリードで開催されたEANS2016に参加し、私は、「微少出血と脳卒中再発との関連性」について発表してきました。昨年も参加したこのEANSは、ヨーロッパ最大規模の学会で、最新の知見に関する発表だけでなく、教育的要素を含んだ発表も多数行われるため、知識の整理や手術手技のコツを学ぶにあたっても役立つ点が魅力です。諸外国の先生方の発表を聞き、大変勉強になるとともに、大いに刺激を受けました。また、11月6, 7日には、留学先のシャリテー内で「Visiting Professor」という会合が催されました。これは毎年シャリテーが行っている行事で、海外からProfessor 1名を招待し、初日は講演を拝聴し、2日目はCadaverコースを行うという企画です。今年はMiamiからJacques J Morcos教授が招かれました。Morcos教授は脳血管外科と頭蓋底外科を専門とされ、豊富な手術経験をお持ちです。初日の講演では、頭蓋底の知識をもとに、その外科解剖と手術アプローチについて非常に分かりやすいスライドと、多くの手術動画で説明していただきました。2日目のCadaverコースでは、企業の協力のもと5献体が用意され、4-5人のグループに分かれて、Morcos教授の指導を仰ぎながらOrbitozygomatic approachおよびFar lateral approachを行いました。講演会で得た知識を基に、献体で実際に各アプローチを行うことで、各構造物の見え方や取り扱いの理解をさらに深めることができました。実際の手術を行う前に、このようなCadaverコースであらかじめ各種アプローチを習熟しておく事の必要性を、あらためて痛感しました。 気が付けば2年間の留学生活も残り数ヶ月となりました。まだまだ今でも試行錯誤の日々ですが、現在では有り難いことに、毎日の予定手術に自分を組み込んでもらい、準スタッフのような形で活動させて頂いています。特に多忙なスケジュールの日は、術前準備(体位取り、消毒、ドレーピング、機械設置など)から、そして時には(わずかながらではありますが)手術進行を1人で行わせていただく事もあります。このような活動を通して、シャリテーの手術スタイルをかなり細かいところまで理解できるようになりました。並行して現在進行中の論文作成、臨床データ整理を行いながら、残りの留学生活を集中して駆け抜けたいと思っています。