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ベルリン留学報告記 Vol. 3

2014年4月からベルリンに留学している堀 聡先生からの留学レポート第3報が届いたので掲載させていただきます。

ベルリンより留学報告記第3弾を送らせていただきます。2015年を迎えて早1ヶ月が過ぎましたが、ベルリンの新年は、まるで戦場にいるかのような街中に響き渡る花火で幕を開けました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、日本では当たり前のように経験してきた疾患でも、ヨーロッパでは馴染みの薄いものもあります。その代表は頚動脈狭窄症で、それに対する頚動脈内膜剥離術やステント治療が、主に血管外科医または神経放射線科医によって施行されているからです。昨年、ヨーロッパ最大規模の学会であるEANS2014に参加しましたが、頚動脈狭窄症のセッションで手術ビデオを物珍しく眺めている先生方も少なくありませんでした。また、もやもや病に関しても認知度は上がってきているとはいえ、まだまだ温度差を感じます。私は、「もやもや病の手術における中硬膜動脈の温存法」についてポスター発表し、何人かの先生と簡単なディスカッションを交わしましたが、その中で、そもそももやもや病の手術治療はどのような事をするのかを質問した先生もいました。このように、日本で大きく展開している分野は世界をリードしていく気持ちで活動していく必要があると思いますし、また逆に日本ではあまり経験しないような事を国際学会に参加することで知り、刺激を受けることは大切であると感じました。
日本ではエビデンスの構築や社会からの監視を理由に、標準的ではない手術治療を敬遠する風潮があることは否めないと私自身は感じていますが、ここChariteでは既存だけにとらわれず、新しい方法・独自の方法に挑戦し(もちろん無茶をしているという事ではなく、論理的な考えの基に、です)、またその考え方や有効性を世に発信する努力を行っており、これは新たな発展のためにも学ぶべき姿勢であると思います。そのような中、私は、動脈硬化性病変・もやもや病に対するhigh flowバイパス術の利用に関して論文としてまとめさせて頂き、現在投稿に向け最終チェック中です。また平行して、三叉神経痛や顔面けいれんに有効とされる微少血管減圧術におけるCharite独自のやり方に関してもまとめている最中です。複数のプロジェクトをこなす過程で、様々な視点・思想を深く理解することができ、大変勉強になり興味深いです。引き続き、できる限りたくさんのプロジェクトを完遂し、世に発信して行きたいと思います。

Report from Dr. Satoshi Hori in Berlin Vol. 3

Dr. Satoshi Hori is studying at Department of Neurosurgery, Charité, Berlin under the direction of Prof. Peter Vajkoczy since this April. This is the second report from him.
Photos
(Left) Dr. Satoshi Hori at EANS2014 meeting in Prague.
(Right) Cover of recent issue of Acta Neurochir (Wien) showing ICG videoangiography during bypass surgery for moyamoya disease from the article by Hori S. et al.

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