トピックス

ニューロサイエンスの旅 Vol. 9

内頚動脈閉塞症に対するバイパス手術は、その後の脳梗塞などの脳血管イベントを予防する上で果たして有用なのか?
とてもシンプルな問題のようにも見えますが、この30年間、世界では意見がまとまっていません。10年前にわが国で実施したランダム化臨床試験(JET研究)では「有効である」と結論づけられましたが、2年前に公表された米国でのCOSS研究では「有効ではない」とされました。
両者の研究は同一のデザインではないので単純に比較する訳には行きませんが、今の混沌たる「ポストJET/COSS時代」に対する回答として、われわれは以下の論文を発表しました。術前診断、周術期管理、手術技能が十分に洗錬されたチームのもとでバイパス手術を実施すれば、バイパス手術は脳梗塞を予防する上で今なお患者さんに一定のメリットがあると考えています。

Clinical significance of STA-MCA double anastomosis for hemodynamic compromise in post-JET/COSS era
Kuroda S et al,
Acta Neurochir (Wien) 2013 Dec 3 [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24292807

関連記事

  1. 日本脳神経外科剣道連盟・第一回稽古会
  2. 脳神経外科医とキャリアを語る会 2019
  3. 謹賀新年2017
  4. 富山グルメ紀行 Vol. 10 「富山湾の冬の幸」の巻
  5. 深淵なるニューロサイエンスへの旅 Vol. 78
  6. 第3回国際もやもや病会議
  7. 国際脳卒中カンファランス2015
  8. ニューロサイエンスの旅 Vol.37
PAGE TOP