当科の高 正圭先生がパリでの短期留学を終えて帰国したので、彼の留学記を掲載させてもらいます。彼なりに収穫の多い留学となったようです。
【パリ留学報告記】
富山大学脳神経外科 高 正圭
2015年3月末〜6月末までの約3ヶ月間、皆様のご助力のおかげをもちまして、パリに小児神経外科を勉強するため留学できました。ここでパリ3ヶ月間の留学生活を紹介できればと思います。
留学先であるNecker病院はパリ15区に位置し、世界初のこども病院で毎日多くの患者さんが日中夜を問わず来院します。Necker病院で行われていた手術は、小児脳腫瘍を始め、血管障害、水頭症など富山大学でも日常見ている疾患だけではなく、当院では比較的頻度の低い二分脊椎や頭蓋骨早期癒合症など中々見る機会に恵まれない疾患に対して、毎週途切れることなく手術を実施していました。いまでも印象に残っているのは、Necker病院での初手術見学症例が症候性頭蓋骨早期癒合症(Apert症候群)であったことであります。脳神経外科専門医の試験勉強中にこの疾患を勉強しましたが、見る機会はあるのだろうか?と思っていた疾患が1症例目で出会えた時は興奮しました。これ以外にも珍しい疾患が手術予定に組み込まれていると知るごとに興奮し、当院でも馴染みのある小児脳腫瘍の症例も日本との違いに驚き、そして勉強させられました。これらの経験は私にとって貴重なものになっております。
しかし個々の治療方針、手術術式も大変勉強になりましたが、私が最も感銘を受けたのは世の中へ自分の意見を論文にして発表していく姿勢でありました。これはNecker病院のスタッフだけではなく、residentや留学生たちも同様でありました。幸いなことにパリでは、イタリア人とモロッコ人の脳神経外科医とブラジル人の形成外科医と親交を深めることができました。彼らは絶えず何かを発信する準備をしつつ手術も勉強する、まさに「文武両道」の精神で日々頑張る姿を間近で見て、肌でその迫力を感じてこれたことが一番の収穫ではないかと思っております。帰国して2週間が経過しようやく自身の生活環境が元に戻ってまいりました。この熱い気持ちが冷めない様、日々精進して参りたいと思います。
繰り返しになりますが、約3ヶ月間、諸先生がたにご迷惑をおかけしつつも、暖かいご支援のおかげをもちまして、パリで貴重な経験ができました。これがさらに実りあるものにするために日々精進して参ります。