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【ベルリン留学報告記 Vol. 1】

本年4月からベルリンに留学している堀 聡先生からの留学レポートが届いたので掲載させていただきます。

 この度、2014年4月よりドイツ・ベルリンのCharité大学病院・脳神経外科へ留学させて頂いております。Charitéは、もともと東西ベルリンに存在した2つの大学医学部が統合されてできたドイツ最大規模の大学病院で、脳神経外科の年間手術件数は約4000件と、手術を学ぶには申し分のない施設です。主任教授であるPeter Vajkoczy先生は、当科・黒田教授と以前から親交があり、また私が興味を持っているバイパス手術等、脳血管障害の外科を専門とされていることなどから、Charitéを留学先に決めました。
Charitéの一日は、朝7時の病棟回診からスタートし、7時半から朝カンファレンス、そしてICU回診を経て、8時半から手術が始まります。Vajkoczy教授は専門の脳血管障害以外にも、良性・悪性脳腫瘍、頭蓋底、脊椎・脊髄までほぼ全ての領域の手術を執刀されます。豊富な手術経験を裏付けるかのように、例えばクリッピング(2件)、STA-MCAバイパス、聴神経腫瘍摘出術、微小血管減圧術が夕方には全て問題なく終了するなど、そのテクニック・スピードには驚かされる毎日です。私は主に教授の手術を中心に見学(時々アシスタントとして参加)させて頂き、主要な手術のビデオライブラリーの作成を任されています。アプローチ・顕微鏡操作において、日本で経験して来た事とは異なる点も多く、「なぜそうするのか?」を常に考えるようになりました。そして多くの件数を経験することで、自然と術野の解剖学的イメージが沸きやすくなってきているのを実感しています。
Charitéでは手術だけでなく、臨床研究も積極的に行われています。各スタッフが疾患別のチームに所属し、テーマを決めて研究を行っています。私は、もやもや病チームに参加させて頂き、「もやもや病の再発例に対するhigh-flowバイパスの有効性」を研究テーマとして与えられ、該当症例を集積・検討中です。
また、留学を通じてただ医学の勉強だけでなく、いかにして外国人とコミュニケーションをとり、周囲に溶け込んで行けるかの重要性を感じています。Chariéには私以外にも様々な国から留学生が来ており、異国の友人もできました。ドイツだけでなく各国の文化・脳神経外科事情を知る事ができ、大変刺激を受けています。富山大学からも短期で学生2名が勉強に来られ、いい経験になったのではないかと思います。
今回の報告は概要が中心となりましたが、今後もう少し具体的な活動報告を発信していきたいと思います。

Dr. Satoshi Hori is studying at Department of Neurosurgery, Charité, Berlin under the direction of Prof. Peter Vajkoczy since this April. This is the first report from him. Photo with Prof. Vajkoczy and Ms. Megumi Nakano, a medical student of University of Toyama.

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