内頚動脈閉塞症に対するバイパス手術は、その後の脳梗塞などの脳血管イベントを予防する上で果たして有用なのか?
とてもシンプルな問題のようにも見えますが、この30年間、世界では意見がまとまっていません。10年前にわが国で実施したランダム化臨床試験(JET研究)では「有効である」と結論づけられましたが、2年前に公表された米国でのCOSS研究では「有効ではない」とされました。
両者の研究は同一のデザインではないので単純に比較する訳には行きませんが、今の混沌たる「ポストJET/COSS時代」に対する回答として、われわれは以下の論文を発表しました。術前診断、周術期管理、手術技能が十分に洗錬されたチームのもとでバイパス手術を実施すれば、バイパス手術は脳梗塞を予防する上で今なお患者さんに一定のメリットがあると考えています。